野球肘になる、肘を痛める、肘にネズミができる、とはよく聞くものの、実際に肘に何が起きたせいで痛みが出ているのかは知らない人が多いのではないでしょうか?
この記事では、意外と知られていない野球肘のメカニズムをわかりやすく説明していきます。
どのようにして野球肘になるのかを理解するだけで、予防にも繋がりますよ。
肘の本来の動き
野球肘になる時に肘で起きていることを説明する前に、肘そのものについて少し知る必要があるので紹介します。
身体中にある関節は「あらかじめ決められた方向」にしか動きません。
その「あらかじめ決められた方向」の数は、関節によって違いますが、肘は「曲げる・伸ばす」の2方向だけ。
皆さんも実際に肘を動かして体感してみましょう。
例えば肩は、腕を前に上げたり、後ろに上げたり、横に開いたり、閉じたりすることができます。
足首も、つま先を上げたり、かかとを上げたり、足の裏を内に向けたり、外に向けたり、動かすことができますね。
しかし肘は「曲げる」と「伸ばす」ことしかできません。
この写真の矢印の方向には動きますが、
この写真の矢印の方向には動きません。
考えてみると当たり前のことですね。
ボールを投げるとき、肘が曲がらない方向に曲がる力が加わる
しかし、野球でボールを投げるときは「肘が動かない方向」に大きな力が加わります。
この写真で言うと、向かって左の矢印の方向(身体の外側方向)です。
ボールを投げる時に腕を後ろから前に大きく振ろうとする瞬間、腕はこのようになります。
この腕を真上から見てみましょう。
腕は前に振りますが、ボールの重さで矢印の方向に力が加わるんですね。
すると、肘には本来曲がらない方向への力が加わってしまいます。
この「本来曲がらない方向に力が加わる」ことが、野球肘の原因になります。
そして、肘の曲がらない方向に力が加わった結果、2つの問題が起きます。
- 肘の内側が引き離される
- 肘の外側が潰れる
肘の内側が引き離される
肘の内側が引き離されると、それを靭帯が止めてくれます。
しかし、何度も何度も引き離される力が加わると、靭帯が傷ついたり、靭帯と骨がくっついている部分が剥がれたりしてしまい痛みがでてきます。
これが内側の野球肘の正体です。
肘の外側が潰れる
肘の外側が潰れると、骨と骨とがぶつかります。
これが繰り返されると、骨が剥がれたり変形したりしてしまい痛みが出てきます。
これが外側の野球肘の正体です。
なぜ肘に負担がかかるのか
ボールを持って投げる以上、負担をゼロにすることはできませんが、人によって肘にかかる負担の違いは存在します。
ではなぜ肘に負担がかかってしまうのでしょう?
その大きな原因は「肘下がり」です。
「肩と肩と肘を結んだ線」が一直線になっていない
この記事でも説明したように、「肩と肩と肘を結んだ線」が一直線になっていない、いわゆる肘下がりな投げ方だと肩や肘にかかる負担が増大します。
意外と知られていないのですが、野球の投球動作では腕を振るだけでなく、最後に肘を伸ばす力でボールをなげます。
「肘を伸ばす動き」は、肘に本来備わっている動きなので負担は少ないです。
しかし、肘が下がってしまっていると「肘を伸ばす動き」が使えなくなり、結果として肘が曲がらない方向にへの負担が増えてしまうんです。
肘が下がっていると肘を伸ばす動きが使えない。
これを皆さんも体感してみましょう。
やり方は簡単。
自分の目の前にあるものを上から引っ叩くだけです。
アゴくらいの高さのものが理想。
叩くものはイメージでするだけで構いません。
まずは肘を高く上げた状態でやってみましょう。
このように肘を高く上げた状態で、、、
目の前のものを上から引っ叩きます。
この時、自然と肘が伸びるのがわかりましたか?
肘が上がった状態だと、肘を伸ばす力が使えます。
次は肘を下げた状態でやってみましょう。
先程より肘を下げた状態から、、、
目の前のものを引っ叩きます。
するとどうでしょう。
肘を伸ばせない。というか最後まで曲がったままだ。
ということが実感できると思います。
肘が上がった状態だと肘を使って投げられる。
肘が下がってしまっていると、肘を伸ばすことが出来ない。
そして肘が伸ばせないということは、肘が本来動かない方向に力が加わってしまっている、ということになります。
まとめ
野球肘にならないために大切なことは、「肩と肩と肘を結んだ線」を一直線にすることです。
肘が下がってしまうと、肘本来の動きを使うことが出来ず、肘を痛める原因になってしまいます。
詳しい対処法などは今後記事にまとめていきますが、ここでは野球肘になってしまう理由を理解しておくと、エクササイズの効率も良くなります。
1つずつしっかり理解し、これからも一緒に学んでいきましょう。
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