体幹トレーニング、きついですよね。
それなのに指導者は容赦なくメニューを追加してきます。
しかし、なぜ野球をする時に体幹を鍛える必要があるのか、理解している人は少ないと思います。
この記事では、体幹が弱いとどのようにして肩や肘に負担がかかるのか、わかりやすく説明します。
なぜ体幹が弱いと肩や肘に負担がかかるのか
まずは体幹の仕組みから理解していきましょう。
理解しやすくするために、「体幹 = お腹周り」と思ってもらって大丈夫です。
お腹周りを支える骨がない
ガイコツを見て分かるように、お腹には周りを支えてくれる骨がありません
背骨が1本あるだけです。
肋骨と骨盤の間に大きな空間があるのが分かると思います。
なのでそもそもお腹周りは、身体の作り的に不安定な場所です。
この空間をしっかりと安定させる役目を担っているのが、いわゆる「体幹筋」ですね。
腹筋が割れている、割れていない、では判断できない体幹筋
お腹周りの筋肉、といえば「シックスパック」でよく聞く腹直筋かもしれません。
しかし、この腹直筋は肋骨と骨盤の間にある空間を安定させるのにはあまり関与していません。
なぜならこのように、腹直筋は、お腹の前の狭い範囲で肋骨と骨盤を上から下に繋いでいるだけだからです。
この筋肉よりも肋骨と骨盤の間にある空間を維持するのに大切な筋肉はこの3つ。
外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋です。
外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋は、どれもお腹から背中まで、ぐるっと1周取り囲んでいる筋肉です。
腹巻きみたいな筋肉ですね。
この筋肉をしっかり使うことができると、お腹の空間を安定させることができます。
この3つの筋肉が弱いとどうなる?
この3つの筋肉は、特に身体が不安定な状態になったときに大事になる筋肉です。
野球でボールを投げるときは、身体が傾いた不安定な状態ですね。
もし「このポーズで20秒間保ちましょう」と言われてやってみると、かなりグラグラすると思います。
それくらい、野球でボールを投げる動作というのは、身体にとって不安定な動きなのです。
そしてこのポーズのとき、体幹を安定させるための3つの筋肉が使えないとどうなるのでしょうか?
いくら体幹が安定しないからといって、バランスを崩して倒れちゃうことはありません。
人間の身体というのは賢いもので、どこか弱い筋肉があると、代わりに他の筋肉で補う能力があります。
その代わりの筋肉がこちら。
背中にある大きな筋肉、広背筋です。
この広背筋が代わりに働くことで、お腹周りを取り囲んでいる3つの筋肉が弱くても、大きくバランスを崩すことなくボールが投げられるということです。
しかし、この筋肉に代わりに働いてもらうとき、大きな問題が潜んでいます。
実はこの筋肉、骨盤から腕の骨までを繋いでいるんです。
筋肉が腕についている、ということは、この筋肉に力が入ったときに腕を下に引っ張る力が加わります。
この不安定な体勢になったとき、本来の体幹を安定させる筋肉が弱いと代わりに背中の筋肉を使ってしまい、その結果腕を下に引っ張る力が働いてしまう。
そうすると、ボールを投げる時に避けなければならない、「肘下がり」になってしまうんです。
肘下がりが肩や肘に大きな負担をかけることは、この記事で説明しました。
この腕が下に引っ張られてしまうのが、体幹が弱いと起こる大きな問題です。
自分やお子さんの体幹力をチェックしてみよう
体幹の弱いせいで背中の筋肉を使ってしまい、結果として腕を引き下げてしまっていないかチェックしてみましょう。
まずは立った状態でバンザイをしてみます。
左右の腕の上がり具合に違いがないことを確認。
次に身体を不安定な状態にするため、片足立ちをしてみましょう。
そしてこの不安定な状態のまま、もう一度バンザイをしてみます。
バンザイの高さが左右で違うのがわかりますか?
この写真のように、片足立ちをしたときにバンザイの高さが変わってしまう人は、体幹が弱いせいで肘下がりが起きている可能性が高いです。
バンザイの高さが左右同じになるくらいまで、体幹トレーニングを続けましょう。
まとめ
体幹、いわゆるお腹周りは、支えてくれる骨が少ない元々不安定な場所です。
そんな不安定な場所をしっかり安定させるための筋肉を鍛え、ボールを投げる際に腕に影響がない状態にしておきましょう。
体幹の弱いまま野球をすることは、そのまま野球肩や野球肘に直結するので緊急事態ととらえるべきです。
具体的な体幹トレーニングも今後紹介していきますが、「そもそもなぜ体幹トレーニングが必要か」ということを理解しておくとエクササイズの効率も良くなります。
自分の身体について1つずつしっかり理解し、これからも一緒に学んでいきましょう。
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