ピッチャーの「球数制限」について、日本でも色々と議論され始めましたが、未だにきちんとした規定はありません。
自分や選手の身を守るためにも、「医学的にどのくらいまでなら投げていいのか」を知っておきたいですよね。
ということで、アメリカで決められている、球数制限などの怪我を防ぐためのルール「Pitch Smart」を日本語に訳しました。
選手や指導者、野球に関わる人は、これを把握しておく必要があります。
Pitch Smart ってなに?
Pitch Smartは、アメリカのスポーツ分野で有名な医師やトレーナーたちが、多くの議論を積み重ねた結果作り出された成長期の野球選手用ガイドラインです。
メジャーリーグの公式ホームページでも大きく紹介されているくらい、アメリカでは有名なガイドラインです。
球数制限だけでなく、推奨される考え方や起用方法が、年齢別で提示されています。
注意点として、硬式ボールを使用した場合のガイドラインになっています。
8歳以下
- ピッチャーマウンドからホームの距離 14.0208m
- 健康や運動能力、楽しさを大切にする
- 野球のルール、一般的なテクニック、チームワークの学習に重きを置く
- 12カ月の間に60イニング以上投げてはいけない
- 1年間に4カ月はボールを投げない期間を作る必要がある。また、そのうちの2~3ヵ月は連続していなければいけない
- ピッチングをする前にウォーミングアップは必ず行う
- 球数の管理を行い、決められた休息期間をとらなかればいけない
- ストレートとチェンジアップ以外の球種を投げてはいけない
- 同時に複数のチームに所属してはいけない
- ピッチャーとキャッチャーを兼ねてはいけない
- 1日に複数の試合で投球してはいけない
- 1年の間に他のスポーツも行う
- 選手の疲れのサインに気を配る
- 一度マウンドを降りたら、もう一度登板はできない
- 投げた球数に関わらず、3日連続で投手として試合に出てはいけない
9~12歳
- ピッチャーマウンドからホームの距離 15.24m
- 健康や運動能力、楽しさを大切にする
- 野球のルール、一般的なテクニック、チームワークの学習に重きを置く
- 12カ月の間に80イニング以上投げてはいけない
- 1年間に4カ月はボールを投げない期間を作る必要がある。また、そのうちの2~3ヵ月は連続していなければいけない
- ピッチングをする前にウォーミングアップは必ず行う
- 球数の管理を行い、決められた休息期間をとらなかればいけない
- ストレートとチェンジアップ以外の球種を投げてはいけない
- 同時に複数のチームに所属してはいけない
- ピッチャーとキャッチャーを兼ねてはいけない
- 1日に複数の試合で投球してはいけない
- 1年の間に他のスポーツも行う
- 選手の疲れのサインに気を配る
- 一度マウンドを降りたら、もう一度登板はできない
- 投げた球数に関わらず、3日連続で投手として試合に出てはいけない
13~14歳
- ピッチャーマウンドからホームの距離 18.288m
- ストレートとチェンジアップが安定してから他の変化球を投げる
- 12カ月の間に100イニング以上投げてはいけない
- 1年間に4カ月はボールを投げない期間を作る必要がある。また、そのうちの2~3ヵ月は連続していなければいけない
- ピッチングをする前にウォーミングアップは必ず行う
- 球数の管理を行い、決められた休息期間をとらなかればいけない
- 同時に複数のチームに所属してはいけない
- ピッチャーとキャッチャーを兼ねてはいけない
- 1日に複数の試合で投球してはいけない
- 1年の間に他のスポーツも行う
- 選手の疲れのサインに気を配る
- 試合中にマウンドを降りた場合、一度だけなら再び登板してもよい
- 投げた球数に関わらず、3日連続で投手として試合に出てはいけない
15歳~18歳
- ピッチャーマウンドからホームの距離 18.288m
- ストレートとチェンジアップが安定してから他の変化球を投げる
- 12カ月の間に100イニング以上投げてはいけない
- 1年間に4カ月はボールを投げない期間を作る必要がある。また、そのうちの2~3ヵ月は連続していなければいけない
- ピッチングをする前にウォーミングアップは必ず行う
- 球数の管理を行い、決められた休息期間をとらなかればいけない
- 同時に複数のチームに所属してはいけない
- ピッチャーとキャッチャーを兼ねてはいけない
- 1日に複数の試合で投球してはいけない
- 大会のガイドラインに従う
- 選手の疲れのサインに気を配る
- 試合中にマウンドを降りた場合、一度だけなら再び登板してもよい
- 投げた球数に関わらず、3日連続で投手として試合に出てはいけない
19~22歳
- 球数を常に管理する
- 1年間に4カ月はボールを投げない期間を作る必要がある。また、そのうちの2~3ヵ月は連続していなければいけない
- ピッチングをする前にウォーミングアップは必ず行う
- 球数の管理を行い、決められた休息期間をとらなかればいけない
- 同時に複数のチームに所属してはいけない
- ピッチャーとキャッチャーを兼ねてはいけない
- 1日に複数の試合で投球してはいけない
- 大会のガイドラインに従う
- 選手の疲れのサインに気を配る
- 投げた球数に関わらず、3日連続で投手として試合に出てはいけない
日本でもこの基準が使えるか?
アメリカの野球ガイドライン「Pitch Smart」を見てみてどう思いましたか?
僕は初めてこの基準を知ったときに1番驚いたのが「年間4ヶ月間はボールを投げない」という項目でした。
日本の高校野球で、11月のオフシーズン開始とともに4ヶ月間ノースローをすると、春先の大会が間近なのでなかなか難しいですよね。
また、高校生ですら「年間100イニング以上投げてはいけない」という驚きの制限。
日本の高校生だと、2ヶ月もあれば簡単に100イニング投げるピッチャーが多いと思います。
このように、「Pitch Smart」を日本に輸入してもなかなか浸透は難しいです。
しかし、成長期の野球選手を守るためにも、公式戦の開催時期などの制度から変えていく必要がありそうですね。
「Pitch Smart」から学ぶべきポイント
「Pitch Smart」をそのまま日本に輸入することが難しいとしても、学ぶべきポイントはたくさんあります。
- 球数管理をすることを当たり前に
- 投げたイニングを数えることを当たり前に
- 1試合の球数上限、必要な休息期間を参考に
この3つは、日本でもいますぐできる項目だと思います。
あなたが選手であれ、指導者であれ、この3つのポイントを明日から実行してみましょう。
そして、自分の球数を「Pitch Smart」と比較して、どのくらい投げすぎているのかを知ることが、怪我の予防の第一歩です。
実際に1週間や1ヶ月に投げる自分の投球数を数えた人や、アメリカの基準をみて何か感じた人は僕のTwitter(@katalab_s)に気軽に教えてくれると嬉しいです。
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