ごめんなさい。
野球を教える立場の人間として先に謝っておきます。
昨今、指導者の言うことだけを聞いて一生懸命に頑張るだけでは勝てない時代になってきました。
指導者の専門的な知識の不足が原因ですが、だからといって指導者が成長することを待っていたらあなたの野球人生が終わってしまいます。
だからこれからの野球選手は「いかに本質的な情報をネットから集めて上手く利用できるか」が勝負の分かれ目になるかなと。
「そんなこととっくにやってるよ!」って?
そういう人ほど「情報の落とし穴」にハマっていることが多かったりするので、ぜひ最後まで読んでみてください。
これからの野球選手に必要な「情報収集能力」
ここでいう「情報収集能力」とは、できるだけ短時間で正確な情報源にアクセスできるか、デマに流されない知識があるかなどです。
僕たちの前を流れていく情報は玉石混交であり、その中から上達するために効果的な情報を抜き出す能力が必要になります。
また、本質的な情報だけをピックアップするには、教養を含む普遍的な知識を身につける必要があります。
だから情報収集能力を身につけることは時間がかかってしまうんです。
その過程で間違った情報を利用してしまい失敗するかもしれません。
必ずしも失敗は悪いことではないんですが、この記事を読んでくれた人が少しでも失敗せずに済むよう、僕が個人的に「科学的根拠をベースに発信しているな」と感じるTwitterアカウントをいくつか勝手に紹介させてもらいます。
こういう時、忖度があると信用されなさそうなので「僕と関わりが全くない人」の中から厳選しました。
鎌田 一生 さん(@ikbuffaloes)
現オリックス・バファローズのトレーナー。選手のトレーニング風景や科学的根拠に基づいたデータを発信してくれています。
神事 努 さん(@TsutomuJinji)
國學院大學人間開発学部健康体育学科・准教授。研究畑の人なので統計処理したデータを公開してくれています。
西岡 卓哉 さん(@taku0726_tr)
早稲田大学スポーツ科学研究科でトレーニング科学に関する研究を行っている人。論文を精査した上で紹介してくれているので、論文を自分で読めないひとの取っ掛かりとしておすすめ。
Dr.TKO さん(@Chirosamurai)
アスリートケア × 研究畑の人。おそらくトレーナーや医療職向けに発信しているので野球選手には少し難しい内容が多いかもしれませんが、考え方などが参考になるかなと思います。
紹介した人たちのツイートをみて「ちょっと難しいな」と感じた人はチャンスです。
例えば鎌田さんのこのツイート。
ピッチングメカニックに関しては、 レイトコッキングからアーリーアクセラレーション時の投球側の肩甲骨の水平内転、アクセラレーション時の上体の側屈(右投げなら一塁側への適度な傾き)、リリース時の上体の前傾(地面と上体が並行に近づく方が良い、逆に地面と上体が90°に近づくと良くない) pic.twitter.com/uLQWLKGopf
— issei_kamada_orix_buffaloes (@ikbuffaloes) March 7, 2020
レイトコッキング?
肩甲骨の水平内転?
アクセラレーション?
そもそも画像が英語じゃん…
この言葉の意味を理解できている選手のほうが少ないのは間違いありません。
しかし、この文章を理解できて普段からこのレベルの知識を得ている選手がいるのも事実。
今の知識では理解できなくとも、わからない言葉や説明を1つずつ調べて理解していけばそのうち必ずわかるようになります。
発信してくれている方々も、あえて難しい言葉を使っているわけではないので、少しの努力で良質な情報を得ることができるようになりますよ。
また、情報収集能力を高めるためのコツは「簡単に上達することを諦める」ことです。
上達には時間がかかることを理解し、キャッチーな情報に飛びつくのではなく、時間をかけて統計学や身体の知識を身に着けていきましょう。
以上、僕の短いTwitter生活で見つけた良質アカウント紹介でした。
これで野球も上達間違いなし!
……とは、ならないんですよ残念ながら。
これが「情報の落とし穴」です。
多くの選手が情報を得ることで満足しちゃいがちなんです。
僕も昔はそうでした。
そこでここからは、そんな選手に必要なスキルを紹介します。
これからの野球選手に必要な「仮説構築能力」
ここでいう「仮説構築能力」とは、限られた情報で問題の本質や解決策をイメージし、現時点で最も妥当だと思える結論を導き出す能力のこと。
情報収集に力を注いで、この仮説構築をおろそかにしがちなんですが、効率的に上達するためには必須の能力です。
なぜなら、練習方法や考え方・身体の状態で「全員に当てはまる正解」は存在しないから。
「科学的根拠があるから正しい」と解釈しがちですが、科学的根拠があることは所詮「多くの人に当てはまる可能性が高い」に過ぎません。
残念ながら、あなたにもそれが当てはまる保証はないんです。
例えば「有名な選手がやっている方法だから」という理由で自分も同じ練習を取り入れるのは、自分の頭で考えようとしていない兆しかもしれません。
なので、効果がありそうとおもった練習や生活習慣も、実際に取り入れてみて「自分への効果」を判断する必要があります。
先程紹介したTwitterアカウントでも、具体的なトレーニング内容なども紹介してくれています。
ただ、そのトレーニングがあなたに必要かどうかはわかりません。
全員に必要とされるトレーニングもないんです。
自分に必要な能力を手に入れるために、適したトレーニングを探すという流れが理想ですね。
また仮説構築能力は、なにか変化があった時(調子がいい、腕が軽い、ボールがよく見える等)に、その原因を見つけることにも繋がります。
例えばAくんは、ネットで色々調べて、
- 睡眠時間は8時間とったほうがいい
- 水分補給は試合の前日からしたほうがいい
- 練習後にストレッチをしていた方がいい
- お風呂に浸かったほうが良い
という情報を集めて、全て実践しました。
すると、次の日の試合で4打数4安打を記録!
さて、Aくんが4打数4安打を記録できた原因はなんでしょう?
……わからないですよね。
僕もわかりません。
上記した情報だけでなく、精神的な影響や運もあるでしょう。
だから「良いと言われることを漠然とやっている」ではダメなのかなと。
なぜ良かったのか?なにが悪かったのか?まで、得られた情報を元に考えることが大切です。
この考える力こそが「仮説構築能力」ですね。
ちなみに、イチロー選手は毎朝カレーだけ食べていたらしいです。
その理由について本人は「カレーが好きだから」としか言ってませんが、毎日同じものを食べることで「調子の波」に食事が関与しないので、仮説構築をしやすいだろうなと思っています。
これからの野球選手に必要な「実行力」
ここでいう「実行力」は、やると決めたことを最後までやりきる能力のこと。
せっかく仮説を立てて今からやるべきことを計画したにもかかわらず、最後までやりきることができないと仮説の検証もできません。
実行力のない人は、これまで情報を集めてその中から精査し自分なりの仮説を立てたとしても、水の泡となります。
逆に捉えると、情報収集や仮説構築のスキルが低くても決めたことを100%やりきれば、自分の経験値となり上達に近づくんですよね。
「あれは自分には合わなかったなー」「30日続けたくらいじゃ変わらなかった」でも立派な経験値になります。
つまり、紹介した3つのスキルの中でいちばん大切なのは「実行力」になります。
実行力をつけるコツは、良さそうだと思ったことを毎日の習慣に取り入れてみることです。
その時に「毎日絶対にやること」と紐付けてあげると、なおさら継続率があがります。
例えば、
- お風呂の後にストレッチ
- 通学中に身体の勉強
- ご飯の後にプロテイン
のように。
まとめ
この記事に書いたように、自分で仮説を立てそれを実行する習慣を身につけることが、ライバルたちと差をつける要因になります。
これから先もどんどん情報がネット上に溢れてくるでしょう。
だからこそ情報の海でしっかり泳げるようになっておきたいですね。
また、今回紹介した3つのスキルは、野球以外のことにも必ず役立ちます。
まずは自分の決めたことをやりとげる「実行力」を100%に近づけ、質の高い情報を手に入れる努力をし、自分の頭で考える習慣を身に着けていきましょう。
応援しています。