ピッチングにおいて「球速アップ」を目指す選手にとって、下半身の使い方は極めて重要です。
前回の記事【球速150km/h】球速アップのカギは下半身!カタラボが教える骨盤の正しい使い方 では、骨盤の役割について解説しました。
今回はさらに一歩踏み込み、骨盤と体幹の回旋を分離する技術について紹介します。大分市のカタラボでも多くの選手が取り組み、実際に球速向上に直結している重要なポイントです。
投球動作は「下半身→体幹→上肢」という順序で力を伝達するキネティックチェーンの原理で成り立っています。
「骨盤と体幹の回旋を分離する能力」は球速に直結するファクターとして示されています。
Aguinaldo & Escamilla, 2019
☑︎ 骨盤が先に回旋し、体幹は一瞬だけ遅れて回旋する
☑︎ この時間差(いわゆる“hip-shoulder separation”)が大きいほど体幹の捻転エネルギーが蓄積される
☑︎ 結果として肩・肘・手首へと力が増幅され、ボールに大きな初速を与えることができる
つまり「骨盤と体幹の分離」ができないと、せっかくの下半身の力が十分にボールに伝わらず、球速も伸び悩みます。

図1. ピッチングにおけるセパレーション
カタラボで指導している中でよく見られるのが、水平移動ばかりを意識して骨盤の回旋が出ないパターンです。
シャドーピッチングをするときに「体重移動を大きく」「身体が開かないように」と意識するあまり、骨盤が固まってしまい、結果的に並進力を回旋力へ移行することができずに上半身だけで腕を振る形になってしまいます。これでは骨盤と体幹の分離が消失し、力の伝達効率が落ちてしまうのです。
正しいイメージとして・・・
☑︎ 前足を着くときには骨盤回旋が始まっている
☑︎ 骨盤回旋をスムーズに“先行”させ、そのあとで体幹を遅れて“追いかける”
という「時間差のある回旋運動」です。
動画1. 並進運動のみの意識づけ
動画2. 並進運動から骨盤回旋初期動作
開く癖のある選手が意識づけの目的で動画1に取り組むのは良いことです。
しかし、ピッチングにおいても前足の設置は開かずに着くイメージの選手が多いので、ある程度並進運動がイメージつく選手は動画2のように並進運動から最終的に骨盤の回旋運動を出すように取り組んでみてください。
ここからはカタラボで実際に取り入れている、分離能力を高めるための代表的なドリルを3つ紹介します。
1. 片膝立ちでの骨盤回旋
- 方法:片膝立ちの姿勢になり、骨盤を左右に回旋させる。
- ポイント:胸郭は正面を向いたまま固定し、骨盤だけを動かす意識を持つ。
- 効果:体幹と骨盤を切り離して動かす感覚を養える。
2. 腰を反らない骨盤回旋ドリル
- 方法:立位で軽く膝を曲げ、腰を反らさずに骨盤だけを回旋する。
- ポイント:反り腰になると腰椎の伸展動作が混ざり、回旋の分離が失われる。お腹の前に軽く力を入れてニュートラルを維持する。
- 効果:骨盤の純粋な回旋動作を習得できる。
3. 立位での並進運動から骨盤回旋
- 方法:軽く一歩踏み出し、体を前に運んだ後に骨盤を素早く回旋させる。
- ポイント:ただ前に進むのではなく「進んでから骨盤を切る」意識を持つ。
- 効果:実際の投球動作に近い形で、並進→回旋のタイミングを習得できる。
骨盤と体幹をしっかりと分離できるかどうかは、投手にとって球速アップの大きな分かれ道です。水平移動に頼らず、骨盤を先行させて体幹を遅らせる「回旋の時間差」を生み出すことが、投球動作における爆発的なパワーの源となります。
カタラボ(大分市大道)では、今回紹介したような分離ドリルを実際に選手のフォームに合わせて指導しています。これまで多くの高校球児や大学生投手が、この分離能力を習得することで最短3ヶ月で平均+6.4km/hの球速アップを実現しています。
もしあなたが「もっと速い球を投げたい」「今のフォームに限界を感じている」と悩んでいるなら、ぜひ一度カタラボのサポートを体感してください。正しい骨盤と体幹の分離があなたの球速を大きく変えていきます。
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